2008年06月13日 00:00 〜 00:00
討論「日本官僚論」

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会見リポート

「使命感なき公務員の病理」を語る

山田 厚史 (朝日新聞シニアスタッフ)

脱藩官僚3人が「公務員制度」を熱く語った。鳥取県知事に打って出た片山善博(元自治省・写真右)は「年功序列が諸悪の根源」。ピラミッド型組織は上にゆくほど処遇できない人材の「はけ口」を求める。退職者を送り込む天下り先を模索し行政がいびつになる。情報の非公開も政治家との接触も、年功序列に根源がある、と指摘した。

小泉・安倍内閣に仕えた高橋洋一(元財務省・同中央)は「官僚は政治家を操って行政を仕切るが失敗しても責任を負わない。ノーリスクでハイリターンだ。この無責任体制に問題あり」。公務員は事務方に徹すべし、国家経営に関わりたければ政治任用のポストに就き政治家と一緒にリスクを負うべきだ、と主張した。

ゆとり教育の旗を振った寺脇研(元文科省・同左)は「明治の頭で昭和の戦争をして負けた。今の役所は昭和の頭で平成の行政をして失敗している」と意識改革を強調した。

天下の秀才を集め国家を経営するのは官僚、という構図は高度成長と共に終わってしまったのか。地頭はいいのに組織になると迷走する。財政、金融、農政、医療……。総崩れが公務員改革を迫っている。

官僚主導から政治家へのパワーシフトが今回の改革の肝だ。政治家にその自覚はあるのか。国会や政党を見ていると心配になる。優秀な学生は外資系になびく昨今、使命感や知謀に長けた人材が政治に集まるだろうか。

幕末、人材は江戸幕府にいたはずだが、明治維新を担ったのは地方の下級武士や公家だった。平成の維新は、どこから人材が湧き上がってくるだろうか。脱藩官僚はその波頭にあるのかもしれない。

ゲスト / Guest

  • 片山善博 / Yoshihiro Katayama

    日本 / Japan

    前鳥取県知事

  • 高橋洋一 / Yoichi Takahashi

    日本 / Japan

    元内閣府参事官

  • 寺脇研 / Ken Terawaki

    日本 / Japan

    元文部科学省審議官

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