2008年04月23日 00:00 〜 00:00
福地茂雄・NHK会長

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会見リポート

“三現主義”をモットーに

近藤 晶 (東京新聞放送芸能部)

会長就任の直前、報道局記者らによる株のインサイダー取引が発覚した。職員向けの就任あいさつでは「NHKは崖っぷち」と危機感を示した。2004年の制作費着服問題では大規模な受信料不払いを招いたが、その後も職員の不祥事は後を絶たない。

福地氏は「不祥事のたびに規定や組織が作られてきた。それらは前提だがスタートに過ぎない。形に込める心が必要だ。心というのは企業風土だと思う」と強調した。信頼回復には、職員の意識変革が不可欠ということだろう。

アサヒビール相談役からNHK会長に転じて約3カ月。「現場で、現物を、現実に」の「三現主義」をモットーに、制作、営業、技術のさまざまな現場に自ら足を運び、組織を見てきた。福地氏は「現場からの発想はすごく大事だ」と期待を寄せる。コンプライアンスの確立に加え、11年の完全デジタル移行、受信料の公平負担、国際放送とネット配信の強化、関連団体の効率化など課題は山積している。

「NHKに限らず、放送事業者は大きな変革の時に差しかかっている。視聴者に対して、どんなプラットフォームに、どんな列車を走らせるかということが問われている」。放送と通信の融合という流れの中で、公共放送NHKは、どうあるべきなのか。「国営でも民間でもないところにNHKの存在意義があると思う」と語った福地氏の手腕が試されることになる。

一方、とかく政治との距離が問題となるNHKだが、古森重隆経営委員長の「国益主張」発言について、会見では「言葉が足らなかったんじゃないか」とかわした。ねじれ国会の政情に対しては「NHKの予算を早く通してもらうことだけを気に病んでいた」と答え、会場の笑いを誘った姿が印象的だった。

ゲスト / Guest

  • 福地茂雄 / Shigeo FUKUCHI

    日本 / Japan

    NHK会長 / President of Japanese public broadcaster NHK

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