2008年04月21日 00:00 〜 00:00
宮崎誠・日弁連会長

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会見リポート

弁護士2万5千人の現実を

市川美亜子 (朝日新聞社会部)

裁判員制度のスタート、法曹人口の拡大問題と、司法改革の正念場を迎える日本弁護士連合会。2万5千人のトップの会見には、歯切れの良さが感じられなかった。

封筒が膨れあがるほどの資料やパンフレットを配り、その一つ一つを自ら取り出しては説明する姿からは誠実さがにじみ出ていたが、「だれがなんと言おうと引っ張っていく」推進力は、出そうにも、出せないという印象だった。

それが、この組織のかじ取りの難しさを示しているのだろう。

少し前まで主流派の「できレース」だった日弁連会長選は、ここ数年で大きく変わった。2月の選挙は、司法改革への賛否を問うメルクマールといわれ、改革に懸念を示す反主流派がこれまでにない勢いを見せた。その「激戦」を何とか制したのが宮崎氏。会見では、裁判員制度への熱意を語る一方で、「ロースクールが予備校化してしまう」「就職問題は深刻」と、端々に現状への不満も口にした。

ところで、宮崎氏は自らを「新聞社の社説で、就任前から最も多く批判を受けた会長だろう」と評し、苦笑していた。批判には限らないが、確かに、ここまで注目された会長選挙は少ない。弁護士の数が増え、裁判員制度が始まり、司法がいや応なく市民生活に「身近」な存在になるなかで、日弁連会長という存在は「一業界団体のトップ」から、大きく変化しているからだろう。

会見中、宮崎氏は「模擬裁」(裁判員制度に向けた模擬裁判のこと)「二回試験」(司法研修所の修了試験)などの「業界用語」を使っては、「素人には分からない」と気付いて、なんとか言い直そうと汗をかいていた。そんな姿にも「過渡期」にある日弁連の姿を感じた。

ゲスト / Guest

  • 宮崎誠 / Makoto MIYAZAKI

    日本 / Japan

    日弁連会長 / President、Japan Federation of Bar Associations

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