会見リポート
2008年04月07日
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アンヘル・グリア・OECD事務総長
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改革の停滞─対日経済審査報告
尾村 洋介 (毎日新聞経済部)
報告書は、審査対象国の日本からの反論も踏まえたうえで、OECD加盟国全体のコンセンサスとしてまとめられたものだ。
具体的には、高齢化で社会保障費の歳出増の圧力が高まるなか、財政健全化を進めるためには、公共投資の削減に加え、消費税率引き上げによる歳入の増加が必要と指摘。
また、法人税や個人所得税の課税ベースを拡大する。一方で、企業の国際競争力の向上のため、法人税率は引き下げる。低所得家計を支援するため、いわゆる「負の所得税」である「勤労所得税額控除」を導入することも効果的とした。
金融政策では、デフレの可能性がなくなるまで、追加的な利上げを行わないよう求めた。労働市場の流動性を高めることを支持する一方、正社員と非正社員の間の格差拡大に懸念を表明し、非正社員への保護を強めることを求めた。
かつて、小泉政権が、経済財政諮問会議を活用して進めた構造改革と路線は同じだ。当時、「改革のエンジン」の役割を果たしていた諮問会議の存在感は、安倍、福田と政権が引き継がれるたびに薄れ、今は、社会経済的にインパクトのある提言もなかなか打ち出せていない。
構造改革の進展を期待する海外の投資家からみれば「日本買い」の材料がない。OECDの提言は、改革の停滞に対する海外からの厳しい目を反映しているともいえる。
グレア氏は「(改革は)不人気策かもしれないが、日本は、世界のなかで競争力を上げる必要がある。当局は、ひるまずに敢然と取り組んでほしい」と強調した。
ゲスト / Guest
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アンヘル・グリア / José Ángel Gurrí
経済協力開発機構 / OECD
OECD事務総長 / Secretary General, OECD