2008年03月27日 00:00 〜 00:00
アッバス・アラグチ・駐日イラン大使

申し込み締め切り

会見リポート

中村・横浜国大生は無事

藤原 和彦 (読売新聞出身)

外交官、それも外務官僚の記者会見はしばしば、その国の外交政策の一方的な主張・説明の繰り返しに終わる。その結果、会見の場は緊張感を失うことになる。しかし、こうした会見を“角度の違う”質問が救うことがある。今回もそうだった。

アラグチ大使(45)は駐フィンランド大使などを務めたキャリア外交官。2005年にはイラン外務省事務次官(法務・国際問題担当)に就任した。昨年11月日本への赴任が決まってからはイランの核開発政策に関し、今年1月末テヘランで行った読売新聞との単独会見を皮切りに、精力的な“情報宣伝活動”を行ってきた。

今回の会見でも、大使は冒頭1時間にわたってイランの核開発政策をスピーチ。同開発はあくまで平和的なものだと強調し、それを阻む西側諸国を批判した。続く質疑応答。緊張を失いかけた会見の場を救ったのが、4人目フジテレビ記者の、日本人大学生誘拐事件に関する質問だった。

会見のメーンテーマ、イランの核開発政策は同国の基本政策。特別の事情がない限り、海外赴任先の外交官からニュースが飛び出すことはありえない。しかし、誘拐事件は別、会見場にはさっと緊張が走った。そして、大使が語気強く「(誘拐された大学生は)全く無事だ」と述べると、緊張は安堵に変わった。

最後に、会見後間もなく配信された共同通信の記事のリード部分を紹介しよう。「イランのアラグチ駐日大使は27日、都内の日本記者クラブで会見し、イラン南東部で昨年10月に誘拐された横浜国立大4年、中村聡志さん(23)の解放に向けたイラン当局と麻薬密輸組織との交渉について、『かなり新しい情報』と前置きした上で、『仲介役の部族指導者を通じて継続しており、最近になって(交渉が)活発化してきている』と述べた」。

ゲスト / Guest

  • アッバス・アラグチ

    イラン / Iran

    駐日大使 / Ambassador to Japan

ページのTOPへ