会見リポート
2008年03月25日
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ボルディミル・オグリスコ・ウクライナ外相
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会見リポート
NATO加盟方針は主権の問題
佐々木正明 (産経新聞外信部)
ところが、ロシア人はウクライナを指す場合には、慣例上、наを使っている。ロシア人にしてみれば、ウクライナはいまだに一部地域のままであり、ウクライナ人にとっては、独立国家として扱われないこの言い回しを侮蔑表現と感じる人が決して少なくない。
ウクライナの「ナショナリスト」とも呼ばれ、反ロの姿勢を鮮明にする政治家、オグリスコ外相もその1人。会見の大半は、ウクライナのNATO加盟問題や天然ガス供給停止問題などをめぐり、対立を深めるロシアとの摩擦について語られた。
NATO加盟で、「核ミサイルの照準をウクライナに合わせることはあり得る」と牽制したプーチン大統領の強硬な発言については、「ウクライナは主権国家であり、選択の権利を持っている。欧州の民主的な国家と付き合っていくために、NATO加盟の方向性を決意した」と説明。1930年代に、大飢饉で数百万人が犠牲になった悲劇については、「スターリン共産主義体制におけるウクライナを標的にした大量虐殺行為」として、日本政府への理解を求めていくことも明らかにした。
さて、会見ではвとнаの関係性はどうだったのか?実は、すべて英語で行われた。聞けば、ロシア外遊の際もウクライナ語を使うとのこと。しかし、私は会見前に、オグリスコ外相や大使館スタッフと偶然、エレベーターで居合わせたが、一行はロシア語で談笑していた。「ロシアのくびき」からなかなか抜け出せない同国の実態がここにも現れていた。
ゲスト / Guest
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ボルディミル・オグリスコ / Volodymyr Ogryzko
ウクライナ / Ukraine
外相 / Minister of Foreign Affairs