2008年03月21日 00:00 〜 00:00
郭四志・日本エネルギー経済研究所主任研究員「中国」9

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会見リポート

中国のエネルギー戦略

岩城 浩幸 (TBS報道局解説・専門記者室長)

パワーポイントを使用した詳細な報告で、中国の3大石油メジャーが国策と一体となって何を目指しているのか、時系列で解き明かしていく興味深い内容だった。

中国の海外資源確保がそれまでと異なる形で目につくようになったのは、3年前のユノカル買収騒ぎではなかっただろうか。唐突にも見えたこの動きが、実は98年に中国メジャーが上下流の垂直統合体制を作って以来、海外上場を経て戦略的に行ってきた海外資源確保の一環であるという解説を聞けば、中国にとっては予定された道筋の途中のことだったと理解できる。

中国石油メジャーの海外進出が、01年までの30件に対して、02年から07年までが107件という独自集計で、報告はこの流れをさらに実証していくのだが、その進出先は文字通りの地球規模に及んでいる。

こうした海外展開の背景に、国家エネルギー戦略、とりわけ需給ギャップの拡大にともなう石油輸入依存上昇といういわば「直接的動機」と、国際ビジネスや外貨準備拡大下の対外投資促進などのいわば「間接的動機」があること、外交と直結していることなどの分析は、中国の当局者がなかなか明言したがらない点だ。

問題はこの外交がいくら経済協力や互恵というコートを着ても、それですまない点にある。経済援助、製油所投資、LNG購入などとのパッケージ、相手国の外交姿勢の活用といった報告の指摘する特徴が、今の国際政治の琴線に触れる地域、国を多くの対象に含んでいるからだ。日中ガス田問題も、経済協力の観点だけでは解決できない。

報告のとおり中国メジャーの海外進出がより活発になるとすれば、中国を含む国際間で、紛争や摩擦回避の新しい秩序やシステム作りを急ぐ必要があると強く感じた。

ゲスト / Guest

  • 郭四志

    中華人民共和国 / China

    日本エネルギー経済研究所主任研究員 / Senior Researcher, The Institute of Energy Economics, Japan

研究テーマ:中国

研究会回数:9

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