2008年03月17日 00:00 〜 00:00
谷垣禎一・自民党政調会長

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会見リポート

迫力と発信力に物足りなさも

国分 高史 (朝日新聞論説委員)

谷垣氏の会見は、日銀総裁の任期切れを2日後に、またガソリン税の暫定税率期限切れを2週間後に控えたあわただしいタイミングで開かれた。この時点で、自民党政調会長がどんな発信をするのか。注目が集まる場だった。

谷垣氏はまず、参院で野党に日銀総裁への昇格案を不同意にされた武藤敏郎氏について、「通貨マフィアの間での信頼関係がある。財政と金融の両方がわかっている人で、福田首相が候補に指名したのはよくわかる」と評価した。そのうえで、同意人事における制度面の不備に触れつつ、「総裁が決まらない時はどうするか。まだ知恵が出るところまでいっていない」と語った。

一方、ガソリン税を含む租税特別措置については、福田首相の意向を受けて、野党との修正協議に向けまず公明党との協議に入ったことを紹介。「野党がとれるボールを出したいということで公明党と一致した」と説明したが、具体的な中身に触れるのは避けた。

この二つの問題をめぐる3月の政治の迷走ぶりは、目を覆うばかりだった。自民党と民主党との間できちんとした話し合いのルートと信頼関係がないのが一因で、谷垣氏自身、「この問題は(民主党の)どこで誰に話したらいいかわからない。それが十分に見えないのが悩みだ」とぼやいて見せた。

こんな混迷の責任が一方的に政府・与党ばかりにあるとは思わないが、さりとて与党の政策責任者が繰り言ばかりでも仕方ない。

いつもながらのきまじめさを感じさせた会見だったが、民主党との協議を先頭に立って引っ張ろうとの迫力と発信力に乏しかったのは否めない。こんな物足りなさを抱いたのは、筆者ばかりではないだろう。

ゲスト / Guest

  • 谷垣禎一 / Sadakazu TANIGAKI

    日本 / Japan

    自民党政調会長 / Policy Chief, LDP

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