会見リポート
2008年01月22日
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外岡立人・小樽市保健所長
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会見リポート
96万から2400万人の死者も
坂上 博 (読売新聞医療情報部)
このところ、インドネシアなどアジア各地で人間への感染例が相次いでおり、爆発的な世界的流行(パンデミック)が近づいているのではないか、と懸念されている。
世界のニュースを渉猟し、ホームページで情報を発信している外岡立人・小樽市保健所長は「新型ウイルスが出現したら、(4000万人以上の死者を出したと言われる)スペイン風邪より、もっと大きな被害が出ると見られる。しかし、日本には、世界の状況を把握している責任者がいないのではないか」と指摘する。
外岡所長の描くシナリオは背筋が寒くなる。新型ウイルス誕生から2カ月半後には、世界の各都市でウイルスとの「市街戦」が始まる。「このままでは日本国内で96万~2400万人の死者が出る」と言う。
しかし、危機感は薄い。「行政はライフラインや食料品を、医療機関は人工呼吸器などを確保し、市街戦に備えておく必要がある」と訴える。
期待されるのが、プレパンデミック・ワクチンだ。新型に変異する恐れが高いとされる鳥インフルエンザウイルスを基に、あらかじめ作ったもの。「備蓄したワクチンと抗ウイルス薬を、いち早く国民に投与できれば被害者の数を減らせる。その体制作りが大切だ」と話す。
残念ながら、新型インフルエンザウイルスについての一般市民の関心は低い。マスメディアが冷静かつ正確に市民へ情報を伝えることの重要性を再認識させられた。
ゲスト / Guest
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外岡立人 / Tatsuhito TONOOKA
日本 / Japan
小樽市保健所長 / a chief ,health care centre of Otaru City