2007年12月18日 00:00 〜 00:00
ジェレミー・ホッブス・オックスファムインターナショナル事務局長「HIV/エイズ」27

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会見リポート

ペットフード代400億ドル

西村 卓也 (北海道新聞国際部編集委員)

先進国の日常生活において、貧困にあえぐ途上国の現状を考える機会はそう多くない。それを見越して、冒頭、「あなたの妻が出産の際に死亡する確率が7分の1だったらと想像してみてください。ニジェールではこれが現実なのです」と語りかけた。1万1600分の1という日本との対比が鮮明だった。

こんな数字も挙げた。「国連ミレニアム開発目標の保健・衛生分野の目標達成のためには、年470億ドルの金が足りない。世界の軍事費は年1兆ドル。世界のペットフード代は年400億ドル」。途上国の問題を、途上国の視点から考えてほしいという意図が強く感じられた。

問題の所在はどこなのか。現地の技術者を使えば支援は安く済むのに、先進国の専門家を高額で派遣して費用がかさんでいる無駄を、先進国側の責任として指摘した。途上国の側には援助資金の着服、事業費の水増し請求といった腐敗が、なおはびこっているという。

5月に横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD)を開く日本への期待は強い。しかし、来日に際して折衝した財務省は「円借款の形で」という基本姿勢だったという。「無償」を得るための壁は厚い。

オックスファムといえば、5億ドルを超す集金力を誇る環境・開発系では世界最大級のNGO。それだけに「質の高いサービスを提供するのはあくまで政府」という原則論だけでなく、今年の北海道洞爺湖サミットに向けてNGOサイドの建設的議論をどうリードしていくかの展望も聞きたかった。

昨年12月、バリでの気候変動枠組み条約締約国会議では、シロクマが自転車に乗る抗議行動で人目を引いた団体。7月のサミットでも「何か独創的なことを考えたい」と、パフォーマンスには意欲的だ。

ゲスト / Guest

  • ジェレミー・ホッブス / Jeremy Hobbs

    オックスファムインターナショナル事務局長 / Secretary-General, Oxfam International

研究テーマ:HIV/エイズ

研究会回数:27

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