2007年12月13日 00:00 〜 00:00
松尾邦弘・年金記録問題検証委員会座長

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会見リポート

やはり知りたい「責任はだれか」

大林 尚 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

社会保険庁は幹部、職員、労働組合と、すべてがでたらめだった。その体質が「さまよう年金記録」の問題を引き起こした。この問題意識はかなり前から国民の間に共有されていた。

真の責任者はだれか、そしてどう解決すべきか。それを解明する場は厚生労働省の手を離れ、総務省に委ねられた。菅義偉前総務相が自ら組織した委員会が、その舞台となった。

代表的なものは二つ。一つは松尾邦弘・前検事総長を座長とする年金記録問題検証委。もう一つが梶谷剛・前日弁連会長が座長の年金記録確認第三者委。両トップを法曹界の重鎮に託したことが、問題の根の深さを物語る。厚労省は自浄能力なしのらく印を押されたに等しい。

その検証委に国民が期待したのは、記録問題による被害がこれほどまで広がったことについて、①いつから②だれのせいで③なぜ──の3点を解明することに尽きるだろう。とくに②の「だれ」を名指しして、年金の受給者と加入者つまり国民各層に自らの言葉で反省の弁を述べてもらうことだった。それは、もちろん一人とは限らない。

検証委が2007年10月に出した報告書はこう記述する。「歴代の社保庁長官をはじめとする幹部職員の責任は最も重い」。この表現について松尾座長は「特定の時期の特定の個人に責任を求め、それ以外の人に責任を求めないということではない」と解説した。

その通りかもしれない。が、全員に責任があるというのは、極論するとだれにも責任がないというのとニヤリーイコールではないだろうか。

国の行政の一組織がほかの行政組織の責任を追及する困難さは百も承知。それでも「だれか」を知りたかった。

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  • 松尾邦弘

    年金記録問題検証委員会座長

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