2007年11月08日 00:00 〜 00:00
御手洗冨士夫・日本経団連会長

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会見リポート

現実的方策として大連立を評価

森 一夫 (日本経済新聞特別編集委員兼論説委員)

絶妙のタイミングでの会見になった。福田康夫首相との党首会談で連立協議に踏み込んだ民主党の小沢一郎代表が、辞意表明から辞意撤回へと揺れ動いた直後である。

「小沢代表が連立の問題を出したのは、政治家の責任として(国政の停滞の)解決に乗り出したということで高く評価する。残念ながら、大連立は消えたが、これを契機に政策協議の機運が出てきた」

こう受け止めるのは、「国会はねじれ状態だが、日本が直面する諸課題を解決するには、政治のリーダーシップが欠かせない」と考え、現状を打開する現実的な方策として連立をとらえているからだろう。

昨年5月に経団連会長に就任して18カ国を訪問し、「各国が自国の競争力強化に懸命なのをつぶさに見た」。「世界の成長競争の中で、日本は少しずつずり落ちているのではないかと焦燥感を覚える」という。

「一人当たりの所得でみたら、日本は今や先進国の中で並みの国だ」。「イノベーションを加速する必要がある」として、研究開発投資減税の拡充や法人税の引き下げなどの必要性を訴えた。社会保障問題では「基礎年金の全額税方式も選択肢に入れて議論すべきで、年明け早々にも年金改革についての経団連の考え方を世に問いたい」と述べた。

最終的には政治が鍵で、御手洗会長自身も認めるとおり国民の理解を得られるかどうかにかかっている。

会長を務めるキヤノンは朝日新聞に企業広告の掲載を止めている。この件についての質問には、「言論の自由がどうのこうのの問題ではない。企業広告は企業イメージを上げるためで、相乗作用がある場所か相殺作用がある場所か、どちらに出すのかという効率の問題だ」と答えた。

ゲスト / Guest

  • 御手洗冨士夫 / Fujio Mitarai

    日本 / Japan

    日本経団連会長 / Chairman, Nippon Keidanren

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