2007年11月03日 00:00 〜 00:00
クリストファー・ヒル・米国務次官補・6ヵ国協議米首席代表

会見メモ

会見詳録


会見リポート

職業外交官の自負

中井 良則 (毎日新聞論説副委員長)

日本は何回も訪れているが、クラブの記者会見が初めて実現した。休日だったが、関心は高く、ワシントン特派員の「ヒル番」同行記者や外国プレスも熱心に質問した。ナショナル・プレスクラブとしての役割を日本記者クラブが発揮できた。

ヒル氏が6カ国協議を担当するようになり、米国の北朝鮮外交は対立から宥和に転換したと批判される。とりわけ、拉致事件で北朝鮮を信用しない日本では「北にまただまされるのでは」と警戒心が先に立つ。

だが、ヒル氏の立場は、外交による北朝鮮の非核化は可能だし、それを追求するしかない、というものだろう。それもブッシュ政権の任期中に、という締め切りがある。

こんな答えが印象に残った。

「何かを得ようとすれば、何かを与えなければならない。これは交渉だ。タフな交渉だ。私は外交官として何度もやってきた。これほど難しいものはなかったが」

「関与を続けることがとても必要だ。もし外交プロセスから手を引くというのなら、どこへ向かうのかを尋ねなければならない。目標を達成する私たちの戦略は外交活動だ」

「外交政策において私はプラグマティストだし、それを誇っている。このゲームを30年やってきた」

まとまれば歴史に残る外交の勝利と称賛され、失敗すれば「やはり甘かった」と非難される。でも、私たちが騒ぐほどには、本人は楽観的にも悲観的にもなっていないのだろう。意外に淡々と、職業外交官の命じられた職務として対北朝鮮交渉を重ねてきているような気がする。


ゲスト / Guest

  • クリストファー・ヒル / Christopher Hill

    米国 / USA

    米国務次官補・6ヵ国協議米首席代表 / Assistant Secretary of State, U.S. chief representative of six-party talks

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