2007年11月14日 00:00 〜 00:00
伊吹文明・自民党幹事長

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会見リポート

“未知の国会”仕切る戦略は?

川上 高志 (共同通信編集委員)

新テロ対策特別措置法案が前日の11月13日に衆院を通過し、「ねじれ国会」の主戦場となる参院での審議がいつ始まるかという時点での会見だった。聞きたいのはもちろん「再延長」「再議決」という国会対応。しかし「私が答えたら幹事長失格だ」とはぐらかした。「参院の幹部が『60日延長』と言っただけで大変なことになっている」と微妙な時期であることを言い訳にしたが、もうひと言踏み込んでもらいたかった。

「これまでの常識が非常識になった」というフレーズが最近、伊吹氏のお気に入りのようだ。与党が衆参両院を支配している時とは様変わりした「未知の国会」を仕切る幹事長の苦しみなのだろう。この日もこの言葉を繰り返した。

自民党の国会、政局対応の方針がはっきりしない中で、幹事長として福田首相とどこまで意思疎通ができているのかが疑問だ。首相と小沢民主党代表との党首会談の際も大連立協議を事前には聞かされていなかったようだ。会見では「次の衆院選に勝った方のグループが主導権を持ちながら、負けたグループに政界再編を仕掛けて状況を変えていくだろう」と語ったが、単に評論家的な見通しなのか、自民党の幹事長として明確な戦略に基づいた発言なのか分からない。

ただ「来年、消費税を上げることは自民党としては行わない」と消費税増税の見送りを明言し、ニュースを提供することは忘れなかった。我々に向かって「諸先輩の方々」と繰り返す如才のなさが伊吹氏の持ち味なのだろう。

しかし幹事長の職責はそれだけでは務まらない。自民党が政権を明け渡す恐れのある衆院解散・総選挙に向けて、今度は幹事長の緻密な戦略を聞きたい。

ゲスト / Guest

  • 伊吹文明 / Bunmei Ibuki

    日本 / Japan

    自民党幹事長 / Secretary-General, Liberal Democratic Party

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