会見リポート
2007年11月12日
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ウィリアム・C.ラムゼー・IEA事務次長
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CO2削減 この10年が大切
今井 伸 (毎日新聞出身 ガスエネルギー新聞常務)
IEAがこのほどまとめた「世界のエネルギー見通し2007」によると、中国・インドなど新興工業国の急成長を主な理由として、2030年のエネルギー需要とエネルギー関連の二酸化炭素(CO2)排出量はいずれも現在より50%以上増大し、気候変動とエネルギー安全保障への不安は高まる。「これは持続不可能」(事務次長)なのは当然だ。
エネルギー需要は毎年1・8%伸び、30年には05年比55%増える。増加分の45%を中国・インド2国で占める。中国は10年の直後に、米国を抜いて世界一の消費国になる。2国の発電需要の高まりで石炭の需要が増え30年には05年比73%増。
「石炭がこんなに伸びるシナリオを描いたのは今回が初めて」(同)という。石炭は埋蔵量は多いがCO2をたくさん排出する。30年の世界のCO2排出量は05年比1・6倍の419億㌧に膨らむ。国別では中国が07年に米国を抜いて世界一になる。30年時点では中国114億㌧、米国69億㌧、インド33億㌧の順。
IEAはエネルギーを輸入に頼る先進国の組織であり、中国もインドもメンバーではない。そして「中国・インドに経済成長の抑制を求めることは世界の利益に反する」(同)という原則に立つ。となると、各国政府が進めている1500の政策をすべて実施する代替政策シナリオに頼らざるを得ない。そうすれば、CO2排出量は20年代半ばに安定する。
だが、大型発電所は建設に長期間かかり、いったん動けば寿命は数十年。クリーン石炭火力発電所を作るにしても、今すぐ着手しないといけない。ラムゼー事務次長は、「今後10年が大切なのだ」と繰り返した。
ゲスト / Guest
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ウィリアム・C.ラムゼー / William Ramsay
日本 / Japan
IEA事務次長 / IEA