2007年11月29日 00:00 〜 00:00
ダーモット・アハーン・アイルランド外相

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会見リポート

外交・国際貢献でも“大国”

百瀬 和元 (朝日新聞出身)

アイルランドというと、のどかな農村や放牧の光景を頭に描いてしまう。だが、アハーン外相は「ソフトの世界3大輸出国」に象徴される、めざましい経済発展の国として母国を紹介した。「ダイナミックで競争力をもつ経済の国」「熟練労働力の国」…。

日本との外交関係樹立50周年を機会に来日した。戦後日本の復興を「何ごとにもベストを尽くす精神があった」とたたえ、「この精神をアイルランドも共有」と、わずか2世代のうちに農業主体の国からハイテク国へと変身した歩みを語った。いま、この国の国民1人当たりのGDPは3万6千800ユーロ。EUでも、もっとも高い経済水準を誇る。

「強い経済をもつ国には、途上国を支援する責任がある」と同国の「哲学」も披露した。国連活動などを通じて途上国の支援や安定に力を注ぐことが外交の柱になっている。平和構築についても、怨念の歴史をもつ北アイルランド紛争を英国とともに解決に導きつつある体験や知恵がある。「この知識を他の地域の紛争(解決)に役立てたい」とも。

人口420万の国ながら、レバノン、コソボ、チャドなどの国連平和維持活動に多くの要員を派遣している。中立性の強い独自の外交政策を掲げ、世界各地の紛争解決にも積極的だ。

アフガニスタンでは、国連が権限付与した国際治安支援部隊(ISAF)に少数ながら要員を派遣している。だが米英主導の「不朽の自由作戦(OEF)」には参加していない。日本とは逆の形だ。理由をたずねると、アイルランドの軍事活動についての「3原則」(トリプル・ロックの原則)をあげた。政府の承認、議会の承認、そして国連のマンデート(権限付与)だ。国連マンデートがない活動には加わらないということだ。人口や軍事力では小国だが、外交や国際貢献についても、なかなかの「大国」を感じさせる外相会見だった。

ゲスト / Guest

  • ダーモット・アハーン / Dermot Ahern

    アイルランド / Ireland

    アイルランド外相 / Foreign Minister of Ireland

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