2007年10月20日 00:00 〜 00:00
石破茂・防衛相/浅尾慶一郎・民主党「次の内閣」防衛相

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会見リポート

給油継続か民政支援か

勝股 秀通 (読売新聞編集委員)

「アフガンでは多くの国が犠牲を払いながら行動している。それは戦いを続ける価値があるからだ。洋上活動は無意味だと言うのか。英仏独も辞めるべきなのか」

給油活動の継続に反対する浅尾氏に、石破氏はそうたたみ掛けた。

論戦を挑まれた形の浅尾氏だが、「活動は役に立っているが、日本の協力には議論が必要だ」と答えるにとどまった。結局、最後まで民主党が考える「テロとの戦い」を支援する具体的な中身については、聞かれずじまいだった。

今回の討論会は、インド洋における海上自衛隊の給油活動の継続をめぐって、政府と民主党の防衛政策責任者が直接対決する初めての機会だった。継続に「賛成」と「反対」という立場の違いから、議論がかみ合わないのは想定の範囲内とはいえ、先の場面は、両者の“すれ違い”を象徴するようなシーンだった。

「テロとの戦い」をどのように支援するのか、日本として何をなすべきか。与野党が対立しているにもかかわらず、すれ違いばかりで、そうした本質の議論が深まらないのは、活動の現場などから次々に問題が浮上してくるからだ。

海自から補給を受けた米艦の燃料転用疑惑にはじまり、補給量の誤りに気付きながら報告を怠った疑い、補給艦の船泊日誌を破棄していた事実などだ。さらに、前防衛事務次官と防衛専門商社との不適切な関係が露見するに至っては、「テロとの戦い」とは次元が違うと言っても、今は誰も聞く耳を持たないだろう。

11月2日、「テロとの戦い」の現場から日の丸が消えた。本質の論議がはじまる日は来るのだろうか。そうした日本の姿を、国際社会は冷徹な視線で見つめている。

ゲスト / Guest

  • 石破茂 / Shigeru Ishiba

    日本 / Japan

    防衛相 / Ministry of Defense

  • 浅尾慶一郎 / Keiichiro Asao

    日本 / Japan

    民主党「次の内閣」防衛相

研究テーマ:政策討論会「インド洋給油問題」

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