2007年10月24日 00:00 〜 00:00
J.トーマス・シーファー・駐日アメリカ大使

会見詳録


会見リポート

米国はアジア安定の『より糸』

寺田 正臣 (読売新聞国際部長)

対テロ特措法が11月1日で期限切れになりインド洋での海上自衛隊の補給活動が中断することについてシーファー大使は「もし日本がこのまま補給ができなくなれば国際社会に非常に悪いメッセージを与える」と語り補給活動の早期再開を促した。

対テロ戦争で日本が「抜ける」ことへの懸念と同時に、中国の台頭などでアジア情勢が大きく動き出している中で何とか日米同盟を維持、強化して行かなければならないとのメッセージが会見から伝わってきた。

インド、中国、日本という経済の強力なエンジンを抱えるアジアには発展への大きなチャンスがある。一方で、パレスチナ、イスラエルからイラク、イラン、アフガニスタン、パキスタン、インド、中国、朝鮮半島とつらなる西アジアから東アジアにかけての地域はテロ活動や核開発競争が進む「危機の回廊」でもある。貧困や強権国家の存在が民主化を阻んでいる地域もある。

アジアは「好機」に富み「危機」の芽をはらむ地域だ。アジア情勢を分析する中で大使は危機の顕在化へ警鐘を鳴らした。「アジアは大国同士が衝突する世界最後の地域になることが考えられる」。朝鮮半島や台湾海峡では「核による惨禍につながりかねない『8月の砲声』(第1次世界大戦の開戦前夜の状況を描いた歴史家バーバラ・タックマンの著書)シナリオさえあり得る」と述べた。

「米国はアジアの安定を構築する『より糸』である」と言う。危機を回避しアジアに安定をもたらす役割を果たすのは米国だ、という大使の持論には強烈な自負が見えた。


ゲスト / Guest

  • J.トーマス・シーファー / J. Thomas Schieffer

    米国 / USA

    駐日米国大使 / Ambassador to Japan

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