2007年10月03日 00:00 〜 00:00
ニシム・ベンシトリット・駐日イスラエル大使

申し込み締め切り

会見リポート

対パレスチナでは歯切れの悪さも

草野 和彦 (毎日新聞外信部)

「明確」と「不明確」の両方の印象が残る会見だった。

「アフマディネジャド大統領は核兵器もホロコーストもすべて否定している」「テヘランの急進的な政権以上の脅威はない」。対イラン関係については、現政権への嫌悪感をストレートに表現した。

その裏返しだと言えるが、良好だったかつての両国関係を引き合いに、「穏健化した政権にかわれば話し合いをしたい」と語った。「イラン国民への反感はない。私の知る限り、イランに対する軍事行動の選択肢はない」とも言明した。

逆に歯切れが悪かったのが、対パレスチナ関係だ。この会見の数時間後にエルサレムで、イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長との会談が予定されていた。エルサレムの帰属や国境確定など重要課題について自身のビジョンを問われ、「すべてが議論されねばならない」とは述べたものの、「会談での大きな成果を期待している」と具体的な言及はなかった。

ただ、首脳会談でも、その後の交渉でも「大きな成果」は見られない。理由は、11月開催予定の米国主導の中東和平国際会議に対する双方の認識の違いにある。

この会議で発表する共同声明で、パレスチナ側は重要課題の列挙とその達成目標時期の明記を主張。一方でイスラエル側は、「今後の指針」程度にしたい意向だ。支持率低迷にあえぐオルメルト首相は和平進展で指導力回復を狙うが、過度の譲歩を懸念する与党や閣内の動きがブレーキをかけているため、とされる。

だとすれば、対イラン関係との性質の違いもあり、大使発言の「不明確」さは理解できる気がする。それでも国際会議では「明確」な成果が出てほしいと願ってはいるが。

ゲスト / Guest

  • ニシム・ベンシトリット / Nissim Ben Shitritbr

    イスラエル / State of Israel

    駐日イスラエル大使 / Ambassador of Israel to Japan

ページのTOPへ