2007年10月01日 00:00 〜 00:00
「法の日」記者会見:島田仁郎・最高裁長官/大谷剛彦・最高裁事務総長/但木敬一・検事総長/平山正剛・日弁連会長

申し込み締め切り


会見リポート

裁判員制度の意義をアピール

菅沼 堅吾 (東京新聞論説委員)

国民が裁判員として刑事裁判に参加する裁判員制度が実施されるまであと1年半ほど。10月1日の「法の日」に行われた最高裁長官と裁判所、検察庁、弁護士会という法曹3者のトップによる共同会見は、「カウントダウン」が始まったことを意味するのだろう。

「法の日」が制定されて半世紀近くになるが、こんな「企画」は今までなかった。裁判員制度に対する国民の理解と協力を得たいという切実な思いが伝わってくる。

島田仁郎長官たちはそれぞれの立場から制度の意義を強調した。「刑事裁判に国民の感覚と良識がより反映される」「義務が増えるのではなく権利が拡張する」。言わんとすることはよく理解できる。

しかし国民の側には「自分にできるのか」という躊躇や戸惑いがあろう。いかに「分かりやすい裁判」にできるかが重要になってくる。

その際に議論になるのが、取り調べという「密室」の中でのやりとりを録画・録音(可視化)するかどうか、という問題である。参加した模擬裁判が、捜査段階の自白を被告が公判で否認する想定だったので、どちらを信用していいのか、かなり悩んだ覚えがある。

日弁連の平山正剛会長は取り調べの全過程での実現を求め、但木敬一検事総長は自白によって真相を解明することが難しくなると、異議を唱えた。もはや水掛け論の様相を呈しているので、最高裁の大谷剛彦事務総長に見解を尋ねてみたが、「重大な関心をもってみている」と、中立的な立場を崩さなかった。

自白の信用性、任意性が争われて裁判が長期化しては、裁判員制度は大きく揺らぎかねない。模擬裁判を積み重ねる過程で、国民の意見を真摯に聞いていく必要性を感じる。

ゲスト / Guest

  • 島田仁郎 / Nirou Shimada

    日本 / Japan

    最高裁長官

  • 大谷剛彦 / Takehiko Otani

    日本 / Japan

    最高裁事務総長

  • 但木敬一 / Keiichi Tadaki

    日本 / Japan

    検事総長

  • 平山正剛 / Seigou Hirayama

    日本 / Japan

    日弁連会長

ページのTOPへ