2007年10月26日 00:00 〜 00:00
モハメッド・サルマーウィ・エジプト作家連合会長

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会見リポート

強権から民主への転換点

中西 俊裕 (日本経済新聞国際部)

2003年、イラク戦争でフセイン政権を倒した米ブッシュ政権は中東の民主化推進を声高に提唱した。それを受けアラブ世界の内部からも民主化の動きが出たが、最近ではそのペースは落ちているようにも思える。

アラブの主要国家エジプトのほかパレスチナなど各国・地域の選挙でイスラム原理主義系勢力が伸長したことが、政権担当者の警戒感を呼び起こした面もありそうだ。

サルマーウィ氏はエジプトが1950年代に英国の影響を排除し共和制を確立して以降約半世紀の歴史で今、強権政治から民主政治への「転換点に立っている」と強調した。エジプトをめぐってはムバラク大統領が25年も指導者ポストにとどまっていることへの批判もある。

同氏は「今や20以上も政党がある」と複数政党制が育ってきた点を指摘する一方で、「人権団体や民主化を求める組織が増えており、市民社会が地歩を得つつある」と力説し理解を求めた。

エジプト作家連合の会長も務める傍ら戯曲、小説を手掛ける文筆家だ。ただ過去に文化次官を務め、国立大学で教えた経験もあり、エジプト社会の変化の中でイスラム系政治勢力が台頭し国家の安定が揺らぐことへの懸念が言葉の端々に伺えた。

アラブのメディアではロンドンに拠点を置く新聞やアルジャズィーラなど衛星放送のように国境を越えたメディアが出てきた。サルマーウィ氏は「自由の扉を開けた」と指摘。国家がメディアを操りにくい時代に入ったと指摘する一方、「どのトピックが本物か吟味する余地がある」と述べ、新たなメディアがセンセーショナリズムに走らないよう戒める発言も聞かれた。

ゲスト / Guest

  • モハメッド・サルマーウィ / Mohamed Salmawy

    エジプト / Egypt

    エジプト作家連合会長 / President of the Writers' Union of Egypt

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