2007年09月21日 00:00 〜 00:00
坂中英徳・元東京入国管理局長「日本の難民・外国人受け入れ政策」2

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会見リポート

外国人─秩序ある受け入れ水路

左山 政樹 (読売新聞編集委員)

日本は人口減少社会に入った。何らかの形で労働力を確保しない限り、年金、介護などの社会保障制度を維持していくことも難しいだろう。坂中氏は「50年間で1000万人の外国人移民の受け入れを」と語り、移民を送り出してきた国から移民を受け入れる国への転換を提唱した。

2006年末現在の外国人登録者数は208万人。この10年間で1・5倍に膨れあがったという。しかし、就労目的で日本を目指す外国人に対しては、これまで冷ややかな対応を崩してこなかった。

唯一の例外は日系移民二世、三世のUターン受け入れだ。外国人登録者の国籍別の数では、ブラジル人が31万3000人、ペルー人が5万9000人に上っている。ほとんどは日系人と思われる。

坂中氏はその日系人家庭の現状を問題視する。「労働者本人は年金や健康保険にも入っておらず、子どもにも初等、中等教育が行われていない。犯罪に走る子どもも急増している。日本の企業も教育体制もなっていない」と指摘。貧困な支援策に手厳しい批判を繰り広げた。

外国人研修・技能実習制度を使って受け入れた研修生を低賃金で働かせる事例も相次いでいる。日本経団連や内閣府の労働市場改革専門調査会などは「外国人研修・技能実習制度」の見直しを提言しているものの、根っこにあるのは、「技術・技能移転」の名で体よく職場を提供することで労働力不足を穴埋めしようという安易な姿勢だ。

就労する外国人が家族を呼び寄せるのは自然な感情でもある。「国際的な人口移動を食い止めるのは難しい。日本人の選択にかかっているが、入れる以上は、定住を含め、秩序ある受け入れの水路を開けるのがいいのではないか」と結んで、私たちに「相当の覚悟」も求めた。

ゲスト / Guest

  • 坂中英徳 / Hidenori Sakanaka

    日本 / Japan

    元東京入国管理局長 / Former Chief, Immigration Bureau in Tokyo

研究テーマ:日本の難民・外国人受け入れ政策

研究会回数:2

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