2007年09月18日 00:00 〜 00:00
金子秀敏・毎日新聞論説室専門編集委員「中国」7

申し込み締め切り

会見リポート

共産党人事サプライズはなし

髙橋 茂男 (日本テレビ出身)

10月の中国共産党第17回党大会の人事を、1カ月前の時点で占ってもらった。

過去の党大会人事を新聞はどう予想して伝えたか。古いスクラップブックを繰ってみると、“死屍累々”といった有様だ。予想を的中させることの難しさが一目瞭然である。例えば10年前の15回党大会で、ナンバー3の喬石は政治局に残る公算大との報道とは裏腹に完全引退に追い込まれた。また、李嵐清、尉健行2人の政治局常務委員昇格を予想した報道も見当たらない。新聞だけを取り上げたが、テレビはもともと人事の予想はほとんど伝えない。

エコノミストの経済予測に倣えば、的中しなくても読者あるいは視聴者を「なるほど」と納得させるものがあれば、プロとして通用するようだ。外れても、「状況が変わった」と一言いえばそれで済む。だが、そんな心配は金子氏には不要だろう。

胡耀邦─趙紫陽─江沢民─胡錦濤と続く1980年代以降の中国のトップは、いずれも鄧小平のカリスマ的権威に基づく人事で決められてきただけに、予想のつかないことも多かった。しかし、カリスマ不在の今、17回党大会人事は初めて「制度的合法性」に則って行われ、サプライズはない、と金子氏はいう。

人口13億人の大国中国の舵を取るのが党員数7000万人の共産党。その核心はわずか数名の政治局常務委員であり、人事の関心はここに集中する。金子氏によれば、当確は胡錦濤の他呉邦国(全人代委員長)と温家宝(首相)の3人。7人枠(現在は9人)なら、胡錦濤のライバル曾慶紅は残留し次世代のリーダー李克強と王兆国、周永康が入る。共産党の人材は切れ目なく育成されているそうで、胡・温の次の世代、いや次の次の世代のリーダーたちについての長期展望も試みてくれた。

ゲスト / Guest

  • 金子秀敏 / Hidetoshi Kaneko

    日本 / Japan

    毎日新聞論説室専門編集委員 / Editorialist, Mainichi Shimbun

研究テーマ:中国

研究会回数:7

ページのTOPへ