2007年07月25日 00:00 〜 00:00
桜井正光・経済同友会代表幹事

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会見リポート

ファイヤー精神の発揮を期待

谷 定文 (時事通信編集局長)

4月に経済同友会代表幹事に就任したばかり。日本記者クラブの記者会見には、初めての登場である。面識がないので印象だけだが、なかなかの自信家とお見受けした。

興味深かったのは、ファイヤー(撃て!)というリコーの経営手法。キジ狩りでは、銃の安全装置を外し、狙って撃つ。この「準備する」→「狙う」→「撃つ」は、キジの居場所を分かっている時の通常の手順だが、そうでない場合には通用しない。まず撃ってみて、驚いたキジが飛び立ったところを狙い、再び撃つ。

これが、顧客ニーズをつかめない時代に通用する経営手法だという。「いくら会議(準備)をしても、情報(キジ)は集まらない」とは、多くの経営者にとって、耳に痛い言葉だろう。

リコーは、環境重視の経営を目指している。しかし、桜井氏によると、それは企業の社会的責任を認識しているからばかりではなく、「環境保全は利益につながる」からでもある。確かに、省エネを通じて電力コストを削減し、汚染の元となる不良部品の発生率を低下させれば、利益は増加する。これを実践したのだから、議論に説得力がある。

もっとも、代表幹事として提唱する「新日本流経営」は、分かるようで分からない。経営者が現場を知っている、といった日本の強みを基本に欧米の良い点を取り込むという考え方のようだが、もう少し肉付けが必要だろう。

また、選挙期間中だったため、政治的な話題に慎重だったのはやむを得ないが、質問に対しては総じて優等生的な受け答えだった。肩に力が入っていた様子でもあった。持ち前のファイヤー精神を発揮していく中で、直言を聞けると期待している。

ゲスト / Guest

  • 桜井正光 / Masamitsu Sakurai

    日本 / Japan

    経済同友会代表幹事 / Chairman, Japan Association of Corporate Excutives

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