2007年06月05日 00:00 〜 00:00
ブレンダン・ネルソン・オーストラリア国防相

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会見リポート

政権交代なら安保にも影響か

坂口 智 (朝日新聞外報グループ)

ネルソン国防相は、日本との外相・防衛閣僚協議(2プラス2)出席のために来日した。2プラス2は、3月に安倍首相とハワード豪首相が署名した日豪安保共同宣言によって設置された定期協議で、今回初めて開催された。

日豪安保共同宣言は、太平洋西部で米国が信頼する同盟国である日豪が、安全保障面の協力関係を制度的に強化したもので、「三カ国同盟」には程遠いとはいえ、その方向に足を進めた画期的合意と言っていい。

ネルソン氏は会見の冒頭で、「豪日関係がこれほど強力で緊密であったことはない」と両国関係の現状を高く評価。また、第1次世界大戦中に日本海軍が豪州の船団を護衛したエピソードから、イラク南部で陸上自衛隊を豪軍が護衛した最近の事例までを紹介した。

一方、近年の日豪の安全保障面の協力関係の進展、ひいては日米、豪米同盟関係の強化の背景には、ブッシュ米政権と親和性の強いハワード豪政権、小泉・安倍政権の存在がある。イラク戦争開戦から今日に至るまで、ブッシュ政権のイラク政策を一貫して支持してきたのは世界の主要国では日豪と英国くらいだ。

だが、この構図は危うくなっている。ハワード政権は、世論調査で野党労働党に大きくリードされ、今年後半の総選挙での政権交代が現実味を帯びてきている。

ラッド労働党党首は、外交官出身で中国通として知られ、政権に就けば、米国との同盟関係はともかく、日本との安全保障関係強化にはブレーキを踏むことも十分予想される。もっとも、老獪なハワード首相は過去2回の総選挙でも劣勢を跳ね返して勝利しており、予断を許さない。日本にとっても注目の選挙になりそうだ。

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