2007年04月26日 00:00 〜 00:00
山崎正和・中央教育審議会会長

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会見リポート

“読み書きそろばん”に順法

中井 大助 (朝日新聞社会グループ)

「中央教育審議会会長としての抱負を聞きたい人には幻滅してもらうしかない」

冒頭にこう宣言したものの、「個人の意見」として展開した教育論は刺激に満ちていた。

政府の教育再生会議が教科への「格上げ」を検討している「道徳教育」については「現在の学校制度のもとで、倫理教育をやることは無理だと思っている。例えば人のものを盗んではならない。暴力をふるってはならない。女性を差別してはならない。こういう事柄に関しては、共通の認識で教えられるが、本当に、倫理の根底に届くような事柄というのは、実は学校制度になじまない」とバッサリ。妊娠中絶を例に「学校で教えられるような、簡単なことではない」と指摘した。

質疑では「現在の道徳教育もいらないと思う」と発言。さらに「あまりに過激なんで、反応が恐ろしい」と前置きし、「歴史教育もやめるべきだと思う」とも語った。

理由は単純明快。

「我が国の歴史がかくかくしかじかのものであったということを、国家が決定するのは間違いだ」。教育の現場に政治を持ち込むことへの反対からだ。

もちろん、歴史に対する関心の重要性は否定せず、同じ事象を採りあげながら、見解が対立する2冊の歴史小説を生徒に読ませ、自ら調べることを促すことを提唱した。

会見の最後には再び、中教審会長としては、こういう発言はしないと念を押した。しかし、この人がトップにいる限り、中教審からは目を離せそうにない。

ゲスト / Guest

  • 山崎正和 / Masakazu Yamazaki

    日本 / Japan

    中央教育審議会会長 / Central Council for Education

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