2007年03月28日 00:00 〜 00:00
ロバート・ホワイティング・ジャーナリスト・作家「アメリカの底流」4

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会見リポート

最大の危機─日本野球界は大改革を

工藤 憲雄 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

『菊とバット』以来、ざん新な日米の文化比較を野球を通じてうまくさばいてみせる名手である。丹念に資料とインタビューを積み上げる手法の作家らしく、用意した原稿の半ばで予定時間を軽くオーバーした。

質問時間も考慮し続きは断念されたが、開幕間近(4月1日)のメジャーリーグや日本の野球のあるべき姿を数字をあげて持論を展開した。語り口はソフトだが、日本野球の懐へ遠慮もなくズバリ切り込む皮肉屋である。そこがおもしろいのだろう。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で王ジャパンが優勝したからといって騒ぐに当たらず、野球・練習環境も年俸もすべてメジャーが断然上で、これからも選手は「沈み行く船を後にするようにアメリカに移っていく」。ゆえに日本の野球は、最大の危機を乗り越えるため、自らを改革しなさい。そのために「ファームを変革せよ」。ここまでノンストップで結論が出た。

毎年新人がチームに10人弱(日本)か50人(メジャー)も入ってくるかでは、当然、層に違いが出てくる。「次々アメリカにトップを持って行かれて、次はどう補てんしていくのか?」。まさに正論だ。

20年前は大リーグも赤字だった。この20年間で総収入が17億ドルから55億ドルに膨らんだ。それは大リーグ商品の売り上げや全国ネットのテレビ、ウエッブなどの放映権料をプールして公平に分配するなど共存共栄の試みが成功したからだ。

だから日本も大同団結しなさい!「アメリカにできて日本にできないはずはない」「でも日本人はアメリカのコピーをしたくないと思う」。実情をよくお分かりで。読売ジャイアンツとは相性が悪いらしく、表現もきつかった。話は極めて筋が通っている。だから関係者は耳が痛くなる。


ゲスト / Guest

  • ロバート・ホワイティング / Robert Whiting

    米国 / USA

    ジャーナリスト・作家 / Journalist,Writer

研究テーマ:アメリカの底流

研究会回数:4

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