2007年03月19日 00:00 〜 00:00
渡辺喜美・行政改革担当相

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会見リポート

天下り根絶の切り込み隊長

五十嵐 徹 (産経新聞論説副委員長)

公務員制度改革の切り込み隊長として抵抗勢力の集中砲火を浴びる中での登場だったが、父親(故渡辺美智雄元副総理)譲りの奔放・軽妙な語り口はこの日も健在。「きょうは(塩崎)官房長官から、あまり過激になるなと言われてきた」とユーモアを交え、ほぼ満席の大ホールで改革の決意を大いに語った。

「政界だって派閥や年功序列が通用しなくなっているのに、霞ケ関の行政モデルだけはまったく変わらない。まさに岩盤のような規律になっている」

官製談合に象徴される官民癒着構造の元凶にある天下りの根絶には、その背景とされる各省割拠主義、年功序列制度を根本から切り崩す必要がある。その切り札が各省ごとの再就職斡旋を内閣府の新機関に一元化する「新人材バンク」構想で、専門スタッフ職制や幹部職員の公募制導入と一体で進めるというのが渡辺改革構想の基本スキームである。

しかし渡辺氏には、既得権益を奪われる官僚の危機感を背景に与党内ばかりか閣内からも独断専行との批判がある。これについて渡辺氏は、今回の改革構想は昨年暮れの行革相任命時に安倍首相から既に指示されていたとの〝秘話〟を披露、首相との足並み一致を盛んに強調した。

渡辺氏としては総理の威光を盾に正面突破を図る構えのようだが、抵抗勢力の巻き返しも強まっている。新人材バンクにも天下りの合法化になりかねないとの懸念がある。

この点について渡辺氏は、今後の詳細な制度設計の段階で尻抜けにならぬよう規制すると明言はしたが、今国会に提出予定の国家公務員法改正案ではそこまでは盛り込まず、天下り実態の全容把握後に別途進めると述べるに止まった。気になるところである。

ゲスト / Guest

  • 渡辺喜美 / Yoshimi Watanabe

    日本 / Japan

    行政改革担当相 / Administrative reform minister

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