2007年03月13日 00:00 〜 00:00
サーイブ・エラカート・パレスチナ交渉局長

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会見リポート

イスラエルと共存 険しい現実

井上 道夫 (朝日新聞外報グループ)

「私には息子がいるが、決して自爆テロ犯にしたくない」

エラカート・パレスチナ交渉局長は、子どもたちの未来のために和平を実現させなくてはならないと訴えた。核開発問題で揺れるイランのアフマディネジャド大統領が、「イスラエルを消し去る」と言い放ったことを引き合いに出し、「(イスラエルを)地図上から消し去るのではなく、新たな(パレスチナ)国家を付け加えたい」と話した。エラカート局長は、イスラエルと共存していくことが現実的な方法であることを理解している。

しかし、道のりは険しそうだ。パレスチナ評議会で多数派のハマスは、イスラエルの生存権を認めようとしない。イスラエルのペレス副首相は同じ日の会見で「アッバス議長がイスラエルを認め、テロを放棄すると言っても、ハマスが『NO』という限り、交渉は進まない」と苦言を呈した。この発言について質問されたエラカート局長は「いろいろな政党があり、考え方の違いがあるのは健全なことだ。イスラエルだって同じ政党内でいろいろな声がある。私たちは、そこまで到達していない」と皮肉交じりの受け答えをするしかなかった。

エラカート、ペレス両氏の今回の来日目的は、和平を促進するためにイスラエル、パレスチナ、ヨルダンが日本のODAを活用して経済分野などで協力する取り組み「平和と繁栄の回廊」の会議に出席するためだ。

暮らしぶりを改善することが、暴力の連鎖を止める最も有効な手段であることは間違いない。「いつの日かパレスチナがイスラエルなどと自由貿易する日がくること」。日本の取り組みがエラカート局長の夢をかなえる一助になることを願う。

ゲスト / Guest

  • サーイブ・エラカート / Sa'ib Erakat

    パレスチナ / Palestine

    パレスチナ交渉局長 / Head, Negotiations Affairs Department, PLO

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