2007年02月15日 00:00 〜 00:00
岩下明裕・北海道大学スラブ研究センター教授「著者と語る『北方領土問題』」

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会見リポート

「2島+α」─ロシアを動かすか?

山内 聡彦 (NHK解説主幹)

「北方領土問題についてしゃべるのはこれが最後」

語る会で岩下氏はいきなりこう切り出した。領土問題をめぐる麻生外相の発言が論議を呼ぶ中、問題の現実的な解決策を探った岩下氏の著書が大佛次郎論壇賞を受賞したことでその発言に関心が集まっていた。

岩下氏は自らを「3島返還論者」でも「面積2等分論者」でもなく、「2島+α論者」だと宣言した。「4でも0でも、2でもなく」というわけだ。そのアプローチはロシアと中国が国境問題を解決したやり方を北方領土問題に当てはめてみようというもの。キーワードは「フィフティ・フィフティ」。「分け合うという精神」が大切だと強調する。

「2島+α」とは何か。「限りなく4島に近い場合から2島に近い場合まで」があり、それぞれにどんなメリットやデメリットがあるのか分析し提示するのは極めて重要だ。

しかし、「フィフティ・フィフティ」といっても、強硬なロシア側は乗ってくるのか。岩下氏によると「折半とか3島とか言ってもロシア人はとんでもないことだと思っている」。

日ソ国交回復から半世紀。事態を打開するにはトップ同士の政治決断しかなく、勝者も敗者もない互いに納得できる解決が求められている。

岩下氏の問題提起は大胆で具体的で示唆に富んでいる。しかし、中ロと日ロは事情が違う。日本が不利な状況なのに今なぜ解決を急ぐのかという反論もある。

とはいえロシア側は2島返還までは戻ってきた。岩下氏が言うように、大事なのはロシア側を一歩でも踏み出させることだ。

「国内で意見の違いはあっても、ロシアに対しては領土を返せと声をそろえるべきであり、外と内とのバランスを取って、ロシアを一歩でも動かさねばならない」

ゲスト / Guest

  • 岩下明裕 / Akihiro Iwashita

    日本 / Japan

    北海道大学スラブ研究センター教授 / Professor, Slavic Research Center of Hokkaido University

研究テーマ:著者と語る『北方領土問題』

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