2007年01月17日 00:00 〜 00:00
ジョン・ボルトン・前アメリカ国連大使

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会見リポート

6カ国協議「失敗」と認定

伊奈 久喜 (日本経済新聞論説副主幹兼編集委員)

人を語るとき、富士山という言い方がある。遠くで見れば美しいが、登ってみれば石ころだらけ。遠目ではいい人でも、近くに寄ればそうでない例は少なくない。

ワシントンでの取材経験のある仲間たちに聞くと、例外はあるが、民主党系は富士山型が多いらしい。一方、共和党には見た目とは裏腹に腰の低い人が目立つ。厚い胸板を誇り、茶目っ気もあるアーミテージ氏が典型である。

ボルトン氏もそうだ。58歳の実年齢より老けてみせる白髪、白髭でいかにも強面風だ。

国務次官当時に訪日した際、少人数の朝食会で何回かご一緒したが、質問に丁寧に答えるひとだった。この日の会見もそうだった。国連大使を辞め、民間人になっているから、発言は以前よりもさらに率直で時折どきりとさせられた。

北朝鮮をめぐる6カ国協議を「失敗」と認定し、米国や特に中国に新たな政策を求めた。昨年12月、次回日程も決まらないまま休会したのを指すのだろう。メンツにこだわって協議を続けようとするのを「恥の上塗り」とも。究極的な解決は「体制崩壊」とする発言も、普通の外交官ならしないだろう。

面白い反応を期待して、仮に6カ国協議の米代表になったら何をするか、と聞いてみた。「北朝鮮はすぐに席を立ってしまうだろう」と素っ気なかった。ワシントンでのネオコン(新保守主義者)の退潮を聞かれ「私はネオコンではないし、ネオコンだったこともない。ネオコンはレーガン時代に現実に蹂躙されたリベラルだが、私はリベラルだったことがないからだ」。

一私人の会見なのに取材用のテレビカメラが7台稼働していた。

ゲスト / Guest

  • ジョン・ボルトン / John Robert Bolton

    米国 / USA

    前米国連大使 / The Former Ambassador to the United Nations

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