2007年01月12日 00:00 〜 00:00
藤原和博・杉並区立和田中学校長「若者と教育」2

申し込み締め切り


会見リポート

たった一人からの教育改革

松永 太 (東京新聞出身)

「さだまさし」そっくりさんの藤原和博・和田中校長は、東大卒後リクルート社に入り同社フェロー、杉並区教委参与を経て、03年4月に都で初めての民間人校長に就任した。「たった一人からの教育改革」に取り組む熱血漢である。

最初に教育界の現状を①生徒のコミュニケーション能力技術の劣化(全て完成品が提供される超便利社会でしゃべる必要なし)②両親不在の家庭や無関心の地域社会から教育全てを学校に押し付けられたことによる学校機能の低下、と指摘した。

これを改善する試みとして、藤原さんが考案したのは、「ドテラ」(土曜寺子屋)を核とする和田中の地域本部と「よのなか科」授業というユニークな発想と着実な実践である。

「ドテラ」は「学ボラ」と称する教員志望大学生ボランティアを30数人集め、毎土曜日に10~15人が百人ほどの希望生徒と勉学に取り組む。勤めに出る母親が家庭で基礎学力を支えられない点をカバーする。

「よのなか科」は一般に学校ではタブーとされる社会問題を校長自ら講義し、自由にディベートさせる。例えば少年法の模擬法廷、自殺しようとする者を抑止する説得術、離婚経験者を招いて結婚と離婚の実態、少子化問題や生殖医療と倫理など、確かに学校が避けて通りたい問題に正面から取り組む。もちろん大人も自由に参加し生徒と一緒になって考える市民講座でもある。

こうして、和田中では教師が本来の仕事である授業、部活、生活指導に取り組むことができるようになった。教育改革は法規や制度の改正ではなくて運用の改善だと言うのが藤原さんの持論であり、教師が僧侶兼務を許されるように年収補完可能な民間人の兼務校長を全国に3千人導入してから、制度をいじっても教育再生は間に合うと提案している。

ゲスト / Guest

  • 藤原和博 / Kazuhiro Fujiwara

    日本 / Japan

    杉並区立和田中学校長 / Principal, Wada junior high school

研究テーマ:若者と教育

研究会回数:2

ページのTOPへ