2007年01月16日 00:00 〜 00:00
安倍晋三・首相

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会見リポート

鋭い質問に穏やかな答え

井芹 浩文 (共同通信論説委員長)

安倍晋三首相はいま苦境に立たされている。安倍政権のレゾンデートルは「人気」にあるのだが、発足当初に高かった内閣支持率が急落しているためだ。

日本記者クラブでの記者会見に臨んだのも、ばん回策の一つかと思っていたが、結果的にみてさほどの効果はなかったようだ。安倍首相自身、内閣支持率の低下傾向について「コップの水を見て、これだけ減ったとは考えません。こんなにまだあるのかと考えます」と意に介していないことを強調していた。

それでは全く人気を気にしていないのかというと、そうでもない。例えば、ホワイトカラー・エグゼンプション法案(いわゆる残業代ゼロ法案)について、質問者が「法案見送りでは、不人気でもやるという勢いがそがれるのではないか」と挑発したが、「国民の理解が得られていない」と不人気政策は取り上げられないとの姿勢だった。

実は、この記者会見で目立ったのは質問の方だった。「政治とカネの問題が取り上げられるスキャンダル国会では、総理の強いリーダーシップが必要ではないか」「当面、増税なしでやっていけるとの新しいイニシアチブを打ち出す考えはないのか」「ブッシュ米大統領の新イラク政策に対しては、米国内でも評価が分かれているのに、どういう信念で新イラク政策を支持したのか」などなど、鋭いものが多かった。

残念ながら安倍首相の答えはよく言えば穏健、ほとんどが紋切り型のもので、これでは人気巻き返しはおぼつかない。これらの質問に対して「正攻法で臨む」(安倍首相)ことが展望を切り開く道だろう。

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