2007年01月15日 00:00 〜 00:00
大田弘子・経済財政担当相

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会見リポート

追加利上げを強くけん制

尾村 洋介 (毎日新聞経済部)



日銀は1月17、18日の金融政策決定会合で追加利上げを見送ったが、大田経済財政担当相の会見が行われた15日は、市場やマスコミが依然「追加利上げの公算がかなり大きい」と予想していた微妙な時期であり、大田経財相の発言に関心が集まった。

大田経財相は、(1)日本はデフレから脱却しようとする極めて重要な時期(2)昨夏から消費が弱い
(3)12月の決定会合後、消費の判断材料に変化はない─と指摘し、「日銀は、説明責任を果たしながら、金融面で持続的な景気と、デフレ脱却の道筋を支えてもらいたい」と述べ、追加利上げを強くけん制した。さらに「低金利の是正はされるべきだが、タイミングの問題がある」として日銀の「金利正常化論」に「時期尚早」とクギを刺した。決定会合での議決の先送りを求める「議決延期請求権」の行使についても、「政府として決めていく」と述べ、可能性を否定しなかった。

これらの発言の背景には、11年度に名目3%台後半の高成長を目指す安倍政権の上げ潮路線に整合的な金融政策を日銀に求める意図があった。

今回は、最終的に日銀執行部が政府に歩み寄って利上げを見送ったと見られるが、政府・与党の目指す「力強く安定的な成長」(安倍晋三首相)と、日銀が志向する「息の長い成長」(福井俊彦日銀総裁)の溝は埋まらないまま残されている。

大田経財相の会見での金融政策以外の発言では、▽医療・介護・教育分野の規制緩和で消費需要を喚起して成長を高める方針を示した点▽経済財政諮問会議で民間議員が提案した省庁による公務員の天下り斡旋の禁止にあらためて意欲を示した点ーなどが注目される。


ゲスト / Guest

  • 大田弘子 / Hiroko Ota

    日本 / Japan

    経済財政担当相 / State Minister in Charge of Economic and Fiscal Policy

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