2006年12月20日 00:00 〜 00:00
羅鍾一・駐日韓国大使

申し込み締め切り

会見リポート

埋められるか「認識の差」

阪堂 博之 (共同通信外信部担当部長)

絶妙のタイミングでの会見だった。北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議が北京で進行しており、今年12月19日投票の韓国大統領選挙まで、ちょうど1年。国連事務総長に就任した潘基文氏の後任である宋旻淳外交通商相の初来日も控えていた。

「メディアと違い、外交官はニュースをつくらないのが目標」と笑わせたが、日本記者クラブでの会見はよほど「ニュース」に縁があるらしい。昨年4月の会見は竹島問題で日韓関係が険悪な時期だった。安倍晋三首相の訪韓などで波風はやや治まったとはいえ、今度は「北朝鮮」という波風が立っている。

「日本の友人に会えば必ず、韓国政府は北朝鮮に融和的、友好的で、北朝鮮の話を聞きすぎる、と言われる」。「太陽政策」と呼ばれる韓国政府の融和的な対北朝鮮政策は、昨年7月のミサイル発射や10月の核実験以降、日本や米国とのあつれきを深めている。

大使はこれまでの韓国政府の対北朝鮮政策を振り返りながら、韓国と他国の北朝鮮に対する政策の最も大きな違いは「認識の差」だと強調した。「われわれは約60年間、北朝鮮と格闘してきた。日本にとって北朝鮮は遠くにあったけど、最近になって急に近づいてきたのではないか。そこに決定的な差がある」。

だが、われわれも北朝鮮と付き合っていかねばならない。拉致問題もある。北朝鮮との「10年後、20年後の関係を見据える」のは同じ民族にだけ可能なのだろうか。

在任2年9カ月。「2007年は日韓間によい雰囲気をつくりたい」という。その鍵は「認識の差」をどこまで埋められるか、にあるのかもしれない。

ゲスト / Guest

  • 羅鍾一 / Ra Jong-yil

    韓国 / Korea

    駐日韓国大使 / Ambassador to Japan

ページのTOPへ