2006年12月13日 00:00 〜 00:00
水谷修・夜回り先生「若者と教育」1

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会見リポート

子どもの側に立て

石川 陽治 (朝日新聞出身)

いじめや子どもの自殺など様々な問題が噴出し、教育改革はいまや国会論議の焦点だが、大切なのはやはり現場の教師の視点だろう。進学校の教師から、問題の多い夜間高校に自ら転じ、夜の街に居場所を求める若者たちに直接向き合ってきた「夜回り先生」の発言には傾聴すべきことが多い。

「22年の教員生活で、子どもをしかったことはない」と言い切る。子どもをほめる、優しい言葉をかけることの大切さを強調し、子どもの側に立つよう大人に訴えている。

水谷修先生は薬物問題にライフワークとして取り組んだ。薬物は脳や神経系を壊すから深刻である。救いを求める少女の腕に無数のリストカットを初めて見たとき、「一緒に生きてみるかい」と語りかけた。

日本はイライラした社会になった。非行に走る子どもで10年前に一番多かったのは夜の世界に入ることだったが、最近は減り、これから暴走族も無くなるという。いま増えているのはいじめだ。仲間をいじめてガス抜きする。いじめができない心優しい子どもたちは不登校になり、抑圧されたはけ口をメールに求める。

子どもたちは生きる力を失いつつある。このままではこの国は子どもたちの自殺大国になる。統計で年間3万人の自殺というが、事故死や中毒死として扱われているものを含めると、自殺はもっと多いはずだ。

教育再生会議については、「怒り心頭」という。いじめている側を学校から排除しようとしているが、いじめている子も、いじめられている子も、ともに大事な子どもなのだ。和解しか解決の方法はない。

自己肯定感のある子、自信のある子どもを育てることの重要性を強調した点に、共感を持てた。

ゲスト / Guest

  • 水谷修 / Mizutani Osamu

    日本 / Japan

    夜回り先生

研究テーマ:若者と教育

研究会回数:1

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