2006年11月29日 00:00 〜 00:00
本間正明・政府税調会長

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会見リポート

税制は民主主義のリトマス紙

池井戸 聰 (東京新聞経済部)

2007年度の税制改正答申の提出を2日後に控えた記者会見。本間氏は冒頭「答申についての質疑はご遠慮いただきたい」とくぎを刺したが、時間がたつにつれ、法人税率引き下げの必要性を説く口調に熱がこもっていった。

「成長重視」の安倍政権から税調会長の指名を受けた本間氏は「欧州の法人実効税率は30%台。(約40%の)日本は中、長期的には見直しが必要だ」と強調。ただ、この日は「企業が栄えれば個人がどうなってもいいとは考えていない」と念を押すことも忘れなかった。

本間氏は11月7日に政府税調会長に就任したばかりだが、すでに「企業優遇」との批判も浴びていた。それだけに会見では「企業が継続的に成長することが重要だ。景気が良くなれば労働分配率は上がっていく」などと繰り返し強調した。

説得力のある主張だったが、気になる点もあった。一つは減税を含む成長戦略で持続的な経済成長が可能になるとしても「短期的な景気の循環にどう対処するのか」との疑問には明快な答えを出さなかったことだ。政治家や政権は、目の前の課題をクリアしなければ「その先」を語ることが難しくなる。

また「名目経済成長率が3%になれば、家計に好影響が波及するという具体的なデータはあるか」との質問に対し「(経済成長率が上がれば労働分配率も上がるということに)確信は持てない」などと回答。成長路線への信頼に不安感を残した。

「税制は民主主義のリトマス試験紙。国民に開かれた税調を目指す」との言葉には力強さを感じた。「やらせでないタウンミーティングをやりたい」という意気込みを今後も持ち続けてほしい。

ゲスト / Guest

  • 本間正明 / Masaaki Honma

    日本 / Japan

    政府税調会長 / Chairman, The Tax Commission of Government of Japan

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