2006年11月21日 00:00 〜 00:00
胡鞍鋼・清華大学公共管理学院教授「中国」2

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会見リポート

加藤 青延 (NHK解説主幹)

「これまでの5カ年計画は、経済成長一辺倒だったが、今度の計画は、まったく新しい発想で策定した」

胡鞍鋼教授は、こう述べて、ことしスタートした中国の第11次5カ年計画が、13億の国民の生活向上に重きを置き、また、自国だけでなく近隣諸国とウィンウィン(互利共贏)の関係を築くことをめざすという発想で策定されたことを明らかにした。

この中で、胡教授は、前の5カ年計画について「経済をレベルアップできた」と評価しつつも、都市と農村の格差拡大、地域間の格差拡大、それに自然破壊などの問題点を生じたことを率直に認めた。そして、新計画策定にあたっては、こうした多くの反省点や、新型肺炎(SARS)、各地で発生している騒動や事件、それにWTO加盟後の対外経済関係の変化などを教訓にしたことを明らかにした。

胡鞍鋼教授は、鄧小平氏がかつて打ち出した三段階発展構想(三歩走設想)にならって、今後2050年までの新たな時期についても、三段階の発展をめざすとの構想を示し、新5カ年計画が第1ステップ。来年の党大会ではそれ以降の第2ステップの目標を検討するとの見通しを語った。

また懸案の農業問題については、「農業人口を今の半分の1億7000万人まで減らさなくては、農民は豊かにならない」との大胆な見解を示すとともに、一人っ子政策の結果、今後迎える高齢化社会への対応については、一足先に対策を迫られる日本の経験を学びたいとの考えを示した。

胡鞍鋼教授は、中国政府の政策決定にかかわる主要なブレーンであり、普段は知りえない、計画策定の舞台裏が、ひしひしと伝わってくる熱のこもった研究会となった。

ゲスト / Guest

  • 胡鞍鋼 / Hu an gang

    中国 / China

    清華大学公共管理学院教授 / Professor, Qinghua University

研究テーマ:中国

研究会回数:2

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