2006年11月22日 00:00 〜 00:00
チャールズ・レイク・在日米国商工会議所会頭

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会見リポート

ソフト路線の日米協議

原 真人 (朝日新聞経済部次長)

90年代の日米貿易摩擦が激しいころ、米通商代表部(USTR)の日本部長として交渉の最前線に立った。日本政府にとって、さぞかし手強いタフネゴシエーターだったのだろう。

44歳のいまは、如才なく、物腰がやわらかい、有能な経営者の顔だ。流暢で丁寧な日本語がその印象を一層強めている。06年初めに在日米国商工会議所の会頭に就任してまとめたビジネス白書について、「対日要求にかつてのような凄みはありませんね」と聞かれ、「そういう時代ではありません」と答えた。

演壇を歩き回りながら1時間余にわたって熱心に説いた日米の課題。その結論は「自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)による日米経済統合をめざすべきだ」だった。ちょうどAPEC首脳会議で、ブッシュ大統領がアジア太平洋FTAを提案したタイミングだけに、その意義を考えさせられた。

「最近、日米には激しい経済摩擦がなくなった。だからよかった、で終わってしまっていいのか」。そう言うレイク氏の主張には説得力もある。世界でFTA交渉が次々と始まっているのに、「日米同盟」とうたいあげる世界1、2位の経済大国がFTA交渉を始めなくていいのか。閣僚級の経済協議が米中にあり、日中でも設置が決まったのに、なぜ日米にはないのか──。そんな疑問を抱いていた人も少なくないのではないか。

とはいえ、 民主党が多数派を占めた米議会のもとで、果たしてレイク氏が描くようなソフト路線の日米協議になるのかどうか。かつての強硬な米国政府の交渉姿勢の記憶が鮮明とあって、どうしても警戒心を抱いてしまうが、中長期的には避けられない課題だろう。

ゲスト / Guest

  • チャールズ・レイク / Charles D. Lake

    アメリカ / USA

    在日米国商工会議所会頭 / ACCJ

研究テーマ:記者研修会

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