2006年11月06日 00:00 〜 00:00
潘基文・次期国連事務総長

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会見リポート

豊富な経験背景に自信も

小林 一博 (東京新聞論説委員)

第8代国連事務総長として迎えることができ、いささかの感慨を覚える。この2月、当クラブの訪韓取材団は潘外交通商相と会見した。まさにその日に事務総長への立候補表明がなされた。その際「ぜひ当選してアジア、世界のためにご活躍を」と激励したことがあったからだ。

穏やかな口調は変わらないが、今回は自信がにじみ出ていた。国連への信頼回復、紛争解決への調停、各機関の調和などの公約を挙げながら「事務総長の任期中、リーダーシップを発揮して、人間の尊厳性、世界の平和と安定のため責任を果たしていく」と抱負を語る。

国連はパワーポリティックスの渦巻く場である。とくに唯一の超大国である米国との調整は難しい。これについても「国連と米国はお互いを必要としている。両者が調和のとれた協力ができる」関係をつくることへの自信をみせた。

根っからの外交官。米国、国連の勤務も長く、難しい局面で橋渡し役、調停役を務めてきた。自信には経験の裏付けがあるのだろう。

しかし、次期事務総長の前に立ちはだかる壁は厚く高い。アジアでは北朝鮮の核問題が喫緊の課題だ。分断国家の片方の出身、本国政府が対北融和策をとるなか、かじ取りは難しい。「十数年間、北朝鮮の核問題に深くかかわってきた経験を生かして最善を尽くす」という。まずは「朝鮮半島特使」を任命する。自身の北朝鮮訪問にも意欲を示すが、最初の試金石になる。

六カ国協議と緊密な連携をとりつつ、国連の機能を十分に発揮し、朝鮮半島の非核化実現に実力を発揮してほしい。35年ぶりのアジア出身の事務総長への期待は大きい。

ゲスト / Guest

  • 潘基文 / Ban Ki-moon

    国際連合 / UN

    次期国連事務総長 / Secretary General

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