2006年11月01日 00:00 〜 00:00
中川昭一・自民党政調会長

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会見リポート

渦中の“持論”を展開

安川 壮一 (共同通信論説委員)

北朝鮮の核実験強行で日本も核武装を目指すのではないか─。実験直後、一部の外国メディアは、日本が明日にでも憲法を改正して核開発に踏み切る可能性がある、というような非現実的な報道をした。

中川政調会長が日本の核保有の是非を議論する必要性を繰り返し強調していることもあり、日本の安全保障政策に対する各国の関心はかつてなく高まっている。それだけに「外国に誤ったメッセージを送ることになり、与党の政策責任者としては極めて不適切だ」と、野党だけでなく与党内からも中川氏への風当たりは強い。

渦中の人となった中川氏は会見でも、核武装した北朝鮮に最も脅威を受けるのは日本であるとし「この時期に議論しないのであれば、いったいいつするのか。脅威が高まっているからこそ議論が必要」と持論を展開した。

メディアの論調は中川氏擁護と批判に分かれてはいるが、新聞や雑誌、テレビでは核保有論議が花盛りになっている。その中では核保有を肯定する声は皆無に近い。理由は明白で、核保有は核拡散防止条約(NPT)脱退、それに伴う国連などの対日経済制裁、そして日米同盟の事実上の崩壊を意味するからだ。

核保有が現実的な選択肢になり得るとすれば、米国が孤立主義に陥ってアジア太平洋地域から撤退、日米同盟が機能しなくなるなど、北東アジアの安全保障環境が根幹から崩れた時だろう。だが、少なくとも予見しうる将来においてそのような状況が訪れるとはとても思えない。

中川氏自身そんなことは百も承知だ。その後持論を「封印」したが、議論を巻き起こしたいという狙いは見事に当たったのではないか。

ゲスト / Guest

  • 中川昭一 / Shouichi Nakagawa

    日本 / Japan

    自民党政調会長 / Chairman, Policy Research Council of the Liberal Democratic Party(LDP)

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