2006年10月25日 00:00 〜 00:00
羽生善治・三冠

申し込み締め切り


会見リポート

飄々としたなかにも風格

木村 亮 (日本経済新聞編集委員)

「15連覇」は大変な偉業に違いないが、かつて「七冠」を制覇し、タイトル通算獲得数が歴代2位の65、現在も王位、王将との三冠という羽生王座の場合、単なる通過点に過ぎない気がしてくるから不思議だ。「囲む会」では、飄々とした語り口のなかに、36歳の年齢に似合わない風格すら漂わせていた。

代表質問ということで、羽生王座が少しは考え込むような問いをしたつもりだったが、百戦錬磨の棋士には通用しなかったようだ。「七冠のときの自分と対決したら勝てるか」という質問には「勝てるかどうかは別にして、当時よりは将棋への理解が進んでいると思う」との返答。同じく「最盛期の大山康晴十五世名人が相手なら──」ときくと、「(大山名人は)新しい戦法にはてこずるかもしれないが、力戦型になれば今でも超一流のはず」。大先輩への畏敬の念を持ちつつ、言葉の端々にトップ棋士としての自信がのぞく。

今年、話題をまいた名人戦問題に関しては、朝日、毎日の具体的な共催の形態が決まっていない状況のため突っ込んだ話は出なかった。しかし、会員からの「平常心の持ち方」「勉強法と休養法」といった質問に対しては「ぼーっとしているのは大事な時間」などと、ユーモアも交えて日常生活を紹介。

将棋の国際化など普及に話が及ぶと「日本の将棋はチェスなどと比べても特異なゲーム。世界普及のために駒の形状や文字を含めて、様々なアイデアが出てきていい」と熱っぽく語っていた。

将棋の棋士がこの会に登場したのは、晩年の大山名人以来、16年ぶり。将棋界の中心人物という意味合いではその大山名人以来の人材であることは間違いなく、また将棋界の将来を最も考えているのが羽生王座であることも確信できた。

ゲスト / Guest

  • 羽生善治 / Yoshiharu HABU

    日本 / Japan

    三冠 / Triple Crown

ページのTOPへ