会見リポート
2006年09月08日
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金容雲・日韓文化交流会議韓国側座長
会見詳録
会見リポート
日韓共同でアジア文化の時代を
隈元 信一 (朝日新聞論説委員)
講演は、日韓の著名な人物や文学作品の比較文化論から始まった。
「花神」で司馬遼太郎は明治の指導者の公私の区別を描いたが、韓国の小説「太白山脈」は司馬流でいえば「私」を描く。万葉集に「愛(=私)」が出てこない日本と、「おおやけ」に当たる言葉がない韓国。その違いが現代まで続いて摩擦を生んでいるのではないか。そう問題提起した上で話は最近の変化に至る。
例えば、日本女性に「ヨン様ブーム」が起きたのはなぜか。「夫から聞けない『愛する』という言葉が氾濫する世界に気づいたからではないか」。一方の韓国は、恐れていた日本の大衆文化を開放したら、韓国製作映画の1割は日本原作になった。「お互いに、いいところを見いだすようになってきた」わけだ。
日本原作で韓国人監督、俳優は中国人といった映画も増えた。99年にできた日韓文化交流会議では、日本側の平山郁夫氏が北朝鮮の高句麗壁画古墳群を世界遺産にと提唱し、実現させた。こうした流れを進めれば「東アジアが一つの大文明圏になれる」というのが結語だった。
ただし、日本を持ち上げてばかりではない。北朝鮮情勢は「昔の日本がABCD包囲網で追いつめられたのと同じに見える」として、「歴史は繰り返すのか」と問いかけた。
金容雲氏は東京で生まれ、早大1年で終戦を迎えた。空襲の記憶も生々しい。関東大震災の時に父が朝鮮人を殺したという友人の自慢話に胸が痛んだ少年期の記憶もある。
だからこそ、日韓は手を携えてアジア文化の時代を築くべきだ。そんな思いを真摯に受け止めたい。
ゲスト / Guest
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金容雲
韓国 / Korean
日韓文化交流会議韓国側座長 / JKCF