2006年09月22日 00:00 〜 00:00
後藤田正純・前内閣府政務官

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会見リポート

家計の安全あっての成長戦略

柏木 慶永 (日刊工業新聞論説委員長)

「金融庁案は有識者懇談会の結論と大きく外れた内容で、承服できない」と、貸金業規制法の金融庁改正案に抗議して、小泉前内閣の内閣府政務官を辞任した自民党の後藤田衆院議員が、思いのたけを語った。

後藤田氏は改正案の中間報告づくりで、有識者懇委員の大半がグレーゾーンの廃止を主張しているのに、業界代表が占めるオブザーバーの意見を両論併記としたことに噛み付いた。「オブザーバーの意見は委員の意見とは別に書くべきだ」と。

その怒りが辞任につながり、自民党の合同会議で金融庁案の修正を迫った。結果は特例金利を金融庁案の28%から25・5%に引き下げ、適用期間も5年から2年へと大幅に短縮することなどの自民党案ができた。ただ後藤田氏はその案にも「見直し条件付で同意した」と強調した。

条件とは特例金利の見直し、利息制限法の金利区分の金額引き上げ撤回など5項目。臨時国会で改正案を審議し、「見直しが実現しない場合には野党で思いを同じくする人がいれば超党派で(修正を)やりたい」と、執念を燃やす。

消費者金融は「サラ金地獄」といわれた時代があった。貸し手が借り手の弱みに付け込み、高利で過剰に貸し付け、荒々しい返済の督促を迫る。借り手は返済のためにヤミ金融に走り、さらに高い金利を要求され、借金が雪だるま式に増え、借金地獄に陥って遂に自己破産となる。

後藤田氏が「家計の安全があって、はじめて日本の成長戦略があった」ことを強調するのは、小泉政権の規制緩和、市場原理の行き過ぎを批判しているように見える。確かに何でも規制緩和ではなく、分野によっては規制強化も必要だろう。とはいえ「貸さない親切」と「借りない勇気」が大事である。

ゲスト / Guest

  • 後藤田正純 / Masazumi Gotoda

    日本 / Japan

    前内閣府政務官 / former Parliamentary Secretary,DPJ

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