2006年09月01日 00:00 〜 00:00
黒川清・日本学術会議会長

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会見リポート

大学の“大相撲化論”を力説

谷口 泰三 (毎日新聞出身)

在米研究14年という異色の経歴、学者らしくないざっくばらんな語り口、ほとばしる情熱。「囲む会」で黒川さんは、息つく間もなく信頼される科学者コミュニティーの建設や大学の国際化の必要性を説き続けた。

日本学術会議は昨年10月、法改正で新体制がスタート。この変革の時期に3年2カ月、会長を務めた。70歳定年で退任直前のいわばサヨナラ会見を黒川さんは「新しい学術会議になって何をしたか」と切り出した。まず取り上げたのが今年2月の147回総会で示された「日本学術会議の新しいビジョンと課題」。

2050年には世界の人口が90億人に達し、食糧、エネルギーや温暖化の問題が一層深刻化することが目に見えている今、世界的に科学者集団に対する期待が高まっている。各国の連携活動も盛んになってきた。例えば昨年、環境問題とアフリカ開発をテーマにイギリスで開かれたG8を前に6月、同国のロイヤル・ソサエティーがG8参加国と関連諸国の学術会議を糾合してまとめた声明がその例だ。日本学術会議もその機能を担わなくてはいけないのに日本ではそうした認識が薄い、と黒川さんは嘆く。

後半は得意の「大学の大相撲化」論をぶった。世界の有名大学が優秀な学生をどう集めるかを競う中で、日本の大学は鎖国状態。外国人力士が多い大相撲に学んで大学を開け、と言う。旧帝大の学部学生の3分の1を3年以内に外国人学生に開放せよとも黒川さんは叫んだ。

盛んに出てくるフレーズが「僕のウェブサイトを見てよ」。発信することに熱心な黒川さん。メディアはこの変化の速い時代を読んで後世のために何をすべきかを発信せよ、と何度も会場の参加者に発破をかけた。

ゲスト / Guest

  • 黒川清 / Kiyoshi Kurokawa

    日本 / Japan

    日本学術会議会長 / Chairman, Science council of Japan

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