2006年08月28日 00:00 〜 00:00
御手洗冨士夫・日本経団連会長

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会見リポート

日本をイノベートできるか

松田 陽三 (読売新聞編集委員)

日本経団連の会長に就任して3カ月。「希望の国を目指して」と題し、御手洗冨士夫・会長が自らのビジョンの一端を語った。

御手洗会長は一筋縄ではいかない人物だ。アメリカ駐在で体得したドライな合理主義と昔気質の義理人情が渾然一体となっている。この日の昼食会からも、会長のそんな二面性がうかがえた。

御手洗会長は、日本を希望の国とするために、「経済、社会から国民の意識にいたるまで、イノベーション(変革)を推し進めることが重要」と訴えた。小泉構造改革を高く評価し、経済格差の拡大についても、「能力や努力による格差は経済活力の源」と是認した。

その一方で、「小学生には、お互いに助け合うことが人間として大切だという伝統的な価値観を教える必要がある」「他人を尊重し、弱者を思いやる公徳心が必要」などと、クギを刺すあたりが、会長一流の懐の深さだろう。

バランス感覚にたけた御手洗会長は、ずけずけと物を言うタイプだった前任者の奥田碩・前会長とは一見、対照的だ。

質疑応答で、こんなやり取りがあった。

「消費税率は何%にすべきだと考えるか」

「経団連として1月に発表するビジョンに盛り込みたい。今は明確な数字を持っていない」

就任から日が浅いこともあってか、政治がらみの問題では、慎重な言い回しも目立った。

しかし、キヤノンの社長時代の経営姿勢は大胆かつ革新的だった。御手洗・経団連がポスト小泉の新政権にどんどんと注文をつける日も、そんなに遠くはないはずだ。

ゲスト / Guest

  • 御手洗冨士夫 / Fujio Mitarai

    日本 / Japan

    日本経団連会長 / Chairman, Nippon Keidanren

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