2006年08月22日 00:00 〜 00:00
ヘマント・クリシャン・シン・駐日インド大使

会見メモ

下記からスピーチテキストを開けます
和文
英文


会見リポート

日米豪との戦略対話に留意

秋山 光人 (日本経済新聞執行役員)

10億の民による「世界最大の民主主義」を標榜し、ITを武器に一躍、次世代の経済大国へ駆け上がろうとする南アジアの巨象インド──。筆者が特派員をしていた一昔前とは隔世の感がある。首脳外交で行き詰まった中国、韓国とは裏腹に、日印関係は政治・経済両面で順調に発展している。

新大使はコロンビア、インドネシアで大使を歴任したベテラン外交官で、7月に着任したばかり。

さっそくインドの独立記念日である8月15日、夫妻で富士山に登頂し、山頂の神社に参拝したという。その際、「両国関係が極みに達するよう力と知恵を与えて」と祈願したエピソードを会見冒頭に披露した。

「2000年の森首相の歴史的な訪印以降、両国の絆は強まった」と指摘、交流の成果や地域安定に向けた戦略的なパートナーシップを強調した。

次期首相として最有力視される安倍官房長官は著書の中で、対中牽制の意を込めて民主主義など共通の基盤を持つ「日米豪印4カ国の戦略対話」を提案している。これには、インドネシアなどを襲った大津波に4カ国が救援で協力した実績を挙げながら、「安倍氏の本を読んだ。提案に留意し、正式な話があれば検討して政府の立場を表明する」と新たな枠組み作りに含みを持たせた。

インド国内では購買力を持つ中産階級が着実に増えているとはいえ、なお貧富の格差は大きい。宗教対立や隣国パキスタンとの緊張も残る。日本企業の本格進出には投資環境の整備が求められる。

年内にはマンモハン・シン首相の訪日も予定され、日印関係のさらなる発展に新大使が手腕を発揮する余地は大きい。


ゲスト / Guest

  • ヘマント・クリシャン・シン / Hemant Krishan Singh

    日本 / Japan

    駐日インド大使 / Ambassador, India to Japan

ページのTOPへ