会見リポート
2006年08月07日
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中島勇・中東調査会主席研究員/宮家邦彦・元外務省中東一課長「中東ベーシック」16
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会見リポート
国家対武装組織の戦争
出川 展恒 (NHK解説委員)
イスラエルが、なぜ、過剰としか言えない軍事攻撃を続けているのかという問題について、中島勇さんは、「今回初めて、ヒズボラがイスラエルに越境攻撃したこと」および、「今回初めて、ヒズボラのロケット弾がイスラエル第3の都市ハイファを直撃したこと」を指摘したうえで、「レバノン政府がコントロールできない武装組織が、戦争を仕掛けてくるという、新たな戦略的な脅威に直面して、イスラエル政府としては、停戦実現よりも、脅威の除去を優先せざるを得ない状況に追い込まれた。イスラエル国民も、軍事作戦の継続を、ほぼ一致して支持している」と分析した。また、宮家邦彦さんは、今回の戦闘は、単にヒズボラとイスラエルの対決だけでなく、イランとアメリカの「代理戦争」という側面もあり、中東全域に連鎖・拡大してゆく危険性をはらんだ「重大な危機」であると強調した。そのうえで、アメリカの中東政策の変遷の中で、戦闘や紛争に関する「従来のルール」が、もはや通用しなくなっていることが、停戦の実現を困難にしていると指摘した。
「国家対国家」ではなく、「国家対武装組織の戦争」という新しい現実に、紛争の当事者自身がとまどい、国際社会も何ら有効な打開策を見いだせずにいる。
ヒズボラやハマスをはじめ、中東各地で勢力を増大させている「武装したイスラム原理主義組織」を、今後、中東和平と民主化のプロセスにどう参加させ、武装解除をどう実現させてゆくのかを考えさせられる会となった。
ゲスト / Guest
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中島勇 / Isamu Nakajima
日本 / Japan
中東調査会主席研究員 / Chief Researcher, The Middle East Research Institute of Japan
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宮家邦彦 / Kunihiko Miyake
元外務省中東一課長 / Ministry of Foreign Affairs of Japan
研究テーマ:中東ベーシック
研究会回数:16