2006年07月24日 00:00 〜 00:00
杉浦正健・法相

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会見リポート

「社会奉仕命令」導入に意欲

鬼木 洋一 (東京新聞社会部)

受刑者らに懲役や禁固刑の代わりに、ごみ拾いなどを科す「社会奉仕命令」。欧米では定着しているが、日本ではなじみのない拘禁制度が近い将来、導入されるかもしれない。この新制度が法制審議会(法相の諮問機関)に諮られる2日前、タイミングよく昼食会が開かれた。本人の口から制度の狙いを聞く、絶好の機会となった。

「国際的評価の高かった日本の安全神話は、今や崩壊しつつある。古きよき時代のころのままで対応してきたものを、根本から改めたい」。就任から9カ月。弁護士出身だけに、今の法務行政の行き詰まりを強く感じる機会が多いようだ。

中でも深刻なのが、全国の刑務所が陥っている「過剰収容問題」。全国の刑務所の収容率は、昨年末時点で116%。拘置所などを含めた刑事施設全体でも104%の定員オーバーになっている。

この問題の打開策として、法相が導入に意欲を示しているのが社会奉仕命令だ。「(犯罪の)まったくの素人は、最初から刑務所に入れるのではなく、奉仕活動をやってもらう」。道路交通法違反など比較的軽い刑を受け、更生意欲が認められる者が対象になりそうだ。

質疑では、保護観察官の大幅増員を目指す法務省の方針について、「国家公務員の人員削減が叫ばれている中、果たして実現可能か?」と迫る質問もあった。

法相は「国民の治安に直結する部分は増員せざるを得ない」と強調する一方、「保護観察官の在り方については批判も強い。(改革なしに)今のまま増やしても、ゼロを掛けてもゼロにしかならない」と苦言も。率直な発言に、会場にいた法務省職員は肝を冷やしたに違いない。


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  • 杉浦正健 / Seiken Sugiura

    法相 / Minister of Justice

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