2006年07月07日 00:00 〜 00:00
ハミド・カルザイ・アフガニスタン大統領

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会見リポート

再建途上、警察力の強化を

大西 利尚 (共同通信外信部)

最近、アフガニスタンの治安悪化を伝える記事を多く配信している。駐留多国籍軍と旧政権タリバンとの戦闘で多数の犠牲者が出ているが、新聞の片隅に載るだけの場合も多い。同国をめぐっては、軍閥や旧国軍兵士の「武装・動員解除、元兵士の社会復帰」(DDR)計画が6月末で終了。6万人以上が武装解除に応じたものの、再建への道のりは険しいと言わざるを得ない。

そんな中、「平和の定着東京会議」に出席するためカルザイ大統領が来日した。民族衣装チャパンをセンス良く着こなし会見場に現れると、流暢な英語を操り質問に答えた。

治安情勢について、国外からのテロリスト流入が大きな要因と指摘。また「1人の警察官が1000人以上の住民を守っている」と述べ、警察力不足との認識を示した。隣国パキスタンを念頭に置いた発言とも受け取れたが、両国間での貿易が活発化していることを例に挙げ「関係は良好」とかわした。

大統領は米国を中心に西側各国と緊密な関係を築き、政権の求心力を高めたとされる。しかし、6月下旬には米軍などによる旧政権タリバン残存勢力の掃討作戦を「アフガン人が死ぬのは受け入れがたい」と戦略変更も求めた。米同時テロから間もなく5年たつが、ビンラディン容疑者やオマル師は行方知れず。米国の政策に不満はないのか。質問しようと手を挙げていたが、指名を受けられないまま時間切れとなってしまった。

大統領は同じ日、会見に先立ち国連大学で講演した。平和定着会議で6千万ドルの支援を約束した日本に謝意を表明。乳児死亡率や識字率が世界最低レベルにあると「もう一度、アフガンに注目してほしい」と訴えた。終始穏やかだった語り口は一転、厳しい顔つきだった。

ゲスト / Guest

  • ハミド・カルザイ / Hāmid Karzai

    アフガニスタン / Afghanistan

    アフガニスタン大統領 / President

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